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解答
[1]
[1-1]
表1より、国語と数学の相関行列は
\[ R_2= \begin{pmatrix} 1 & 0.32\\ 0.32 & 1 \end{pmatrix} \]
である。 固有方程式
\[ \det(R_2-\lambda I_2)=(1-\lambda)^2-0.32^2=0 \]
を解くと、\(\lambda_1>\lambda_2\)より
\[ \lambda_1=1.32,\qquad \lambda_2=0.68 \]
となる。 \(\lambda_1=1.32\)に対応する固有ベクトル\(\boldsymbol{a}\)は、\((R_2-\lambda_1I_2)\boldsymbol{a}=\boldsymbol{0}\)より
\[ \begin{pmatrix} -0.32 & 0.32\\ 0.32 & -0.32 \end{pmatrix} \begin{pmatrix}a_1\\a_2\end{pmatrix} =\begin{pmatrix}0\\0\end{pmatrix} \]
をみたす。 第1行から\(-0.32a_1+0.32a_2=0\)、すなわち\(a_1=a_2\)となる。 長さを\(1\)にすると\(a_1^2+a_2^2=2a_1^2=1\)なので、\(a_1>0\)と選ぶと\(a_1=a_2=1/\sqrt{2}\)となる。
同様に、\(\lambda_2=0.68\)に対応する固有ベクトル\(\boldsymbol{b}\)は
\[ \begin{pmatrix} 0.32 & 0.32\\ 0.32 & 0.32 \end{pmatrix} \begin{pmatrix}b_1\\b_2\end{pmatrix} =\begin{pmatrix}0\\0\end{pmatrix} \]
をみたす。 第1行から\(0.32b_1+0.32b_2=0\)、すなわち\(b_1=-b_2\)となる。 \(b_1^2+b_2^2=2b_1^2=1\)より、\(b_1>0\)と選ぶと\(b_1=1/\sqrt{2}\), \(b_2=-1/\sqrt{2}\)となる。 したがって、求める単位固有ベクトルは
\[ \boldsymbol{a}=\frac{1}{\sqrt{2}} \begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix}, \qquad \boldsymbol{b}=\frac{1}{\sqrt{2}} \begin{pmatrix} 1 \\-1 \end{pmatrix} \]
となる。 また、これ以外にも各ベクトルの符号を全体として反転したものも、それぞれの固有値に対応する単位固有ベクトルである。
[1-2]
標準化した\(2\)変量の分散の和は\(2\)である。 したがって、第1主成分、第2主成分の寄与率はそれぞれ
\[ \frac{\lambda_1}{\lambda_1+\lambda_2}=\frac{1.32}{2}=0.66,\qquad \frac{\lambda_2}{\lambda_1+\lambda_2}=\frac{0.68}{2}=0.34 \]
となる。 [1-1]で選んだ\(\boldsymbol{a}\)に対して、標準化得点の列ベクトルを\(\boldsymbol{u}=(u_1,u_4)^T\)とする。 主成分負荷量を求めるため、第1主成分得点\(z_1\)の分散と、\(z_1\)と国語の標準化得点\(u_1\)の共分散を計算すると、
\[ \begin{aligned} \operatorname{Var}(z_1) &=\operatorname{Var}(a_1u_1+a_2u_4) \\ &=\operatorname{Var}(\boldsymbol{a}^{T}\boldsymbol{u}) \\ &=\boldsymbol{a}^{T}R_2\boldsymbol{a}=\lambda_1=1.32 \\ \operatorname{Cov}(z_1,u_1) &=\operatorname{Cov}(a_1u_1+a_2u_4,u_1) \\ &=a_1\operatorname{Var}(u_1)+a_2\operatorname{Cov}(u_4,u_1) \\ &=\frac{1+0.32}{\sqrt{2}} \end{aligned} \]
である。 よって、主成分負荷量は
\[ \rho_{1,1} =\frac{\operatorname{Cov}(z_1,u_1)}{\sqrt{\operatorname{Var}(z_1)}\sqrt{\operatorname{Var}(u_1)}} =\sqrt{\frac{1.32}{2}} \approx 0.812 \]
となる。 \(\boldsymbol{a}\)の符号を反転した場合は、\(z_1\)と\(\rho_{1,1}\)の符号も反転する。
ここでの\(\operatorname{Var}\)と\(\operatorname{Cov}\)は、標本分散や標本共分散としても同じように成り立つ。
[2]
[2-1]
\(5\)科目を標準化しているので、分散の和は\(5\)である。 第1主成分の寄与率と、第2主成分までの累積寄与率は
\[ \frac{3.67}{5}=0.734,\qquad \frac{3.67+1.24}{5}=0.982 \]
である。
第1主成分の係数はすべて負で、絶対値もおおむね同程度である。 したがって、総合的な成績水準を表す軸と解釈でき、表2の符号では成績が高いほど第1主成分得点は負方向に大きくなる。 第2主成分は国語・英語・社会の係数が負、数学・理科の係数が正である。 これは文系科目と理系科目の相対的な成績を対比する軸であり、値が大きいほど理系科目が相対的に優位、小さいほど文系科目が相対的に優位と解釈できる。
[2-2]
ここでは、標本統計量を母集団パラメータとみる。 \(5\)科目の標準化得点からなる確率変数のベクトルを\(\boldsymbol{u}=(u_1,\ldots,u_5)^T\)、第1主成分の単位固有ベクトルを\(\boldsymbol{a}\)とすると、\(Z_1=\boldsymbol{a}^{T}\boldsymbol{u}\)である。 ここで、\(Z_1\)は正規分布に従う確率変数の線形結合なので、平均は\(0\)、分散は第1固有値となり、
\[ Z_1 \sim N(0,3.67) \]
である。 上側\(20\%\)点を\(c\)、標準正規分布の累積分布関数を\(\Phi\)とすると、
\[ P(Z_1\geq c)=0.20,\qquad c=\sqrt{3.67}\,\Phi^{-1}(0.80)\approx 1.61 \]
となる。 したがって、上側\(20\%\)に入る第1主成分得点は、およそ\(1.61\)以上である。
合計得点を\(T=\boldsymbol{1}_5^{T}\boldsymbol{u}\)とする。 \(\boldsymbol{1}_5\)は成分がすべて\(1\)の\(5\)次列ベクトルである。 第1主成分得点と合計得点の相関係数を求めるため、まず両者の共分散を計算する。 母相関行列を\(R_5\)、第1固有値を\(\lambda\)と書けば、\(R_5\boldsymbol{a}=\lambda\boldsymbol{a}\)より
\[ \begin{aligned} \operatorname{Cov}(Z_1,T) &=\boldsymbol{a}^{T}R_5\boldsymbol{1}_5 =\lambda\boldsymbol{a}^{T}\boldsymbol{1}_5 \\ \operatorname{Cor}(Z_1,T) &=\frac{\lambda\boldsymbol{a}^{T}\boldsymbol{1}_5}{\sqrt{\lambda}\sqrt{\operatorname{Var}(T)}} \\ &=\sqrt{\frac{\lambda}{\operatorname{Var}(T)}}\sum_{j=1}^{5}a_j \end{aligned} \]
となる。 表2の成分の和は
\[ \sum_{j=1}^{5}a_j = -0.44-0.47-0.51-0.40-0.41=-2.23 \]
なので、\(\lambda=3.67\)と指定された\(\operatorname{Var}(T)=18.24\)を用いた計算値は
\[ \operatorname{Cor}(Z_1,T) = -2.23\times\sqrt{\frac{3.67}{18.24}}\approx -1.00029 \]
である。 ここで、これらの値は丸められた値であることから、相関係数は約\(-1.00\)とみることができる。 つまり、符号の違いはあるが第1主成分の値の意味するところは合計点とほぼ同じと解釈できる。
[3]
表2の係数を、与えられた生徒の標準化得点に掛けると、
\[ \begin{aligned} z_1 &=-0.44\times1.22-0.47\times1.33-0.51\times1.58 \\ &\quad-0.40\times1.44-0.41\times1.28 \\ &=-3.0685 \\ z_2 &=-0.46\times1.22-0.37\times1.33-0.15\times1.58 \\ &\quad+0.58\times1.44+0.54\times1.28 \\ &=0.2361 \end{aligned} \]
となる。 図1では横軸が第1主成分得点、縦軸が第2主成分得点なので、座標\((-3.07,0.24)\)付近にある10番の点が、この生徒に対応する。