【統計検定1級】統計応用・人文科学 2022年 問4【解答】

最終更新:

本記事は、筆者が独自に作成した解答・解説です。

統計検定の問題は、当サイトでは掲載していません。

統計検定の問題や公式の解説は、公式問題集をご参照ください。

『統計検定1級 公式問題集[2022~2024年]』をAmazonで見る

  • 本記事は、統計検定の公式の解答・解説ではありません。
  • 内容の正確性には配慮していますが、誤りが含まれている場合があります。
  • 統計検定®は一般財団法人統計質保証推進協会の登録商標です。

解答

[1]

信頼性は測定結果の安定性や一貫性を表し、妥当性は測ろうとする特性を適切に測定できているかを表す。 例えば、数学能力を広く測るテストで、似た計算問題ばかりを多数並べると、項目得点の一貫性は高くなりうる。 しかし、数学能力の一部分しか測れないため、目的に対する妥当性は高いとはいえない。 したがって、信頼性指標が高いだけでは、よい測定とは限らない。

[2]

\(n\)人について\(m\)個の項目を測定したとし、第\(i\)人の第\(j\)項目のスコアを\(X_{ij}\)とする。 第\(i\)人の合計スコアを\(T_i=\sum_{j=1}^{m}X_{ij}\)、その平均を\(\bar{T}=\sum_{j=1}^{m}\bar{X}_j\)とすると、

\[ \begin{aligned} s_T^2 &=\frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n}(T_i-\bar{T})^2 \\ &= \frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n} \left\{ (X_{i1} + \cdots + X_{im}) - (\bar{X}_1 + \cdots + \bar{X}_m)\right\}^2 \\ &= \frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n} \left\{ (X_{i1}-\bar{X}_1) + \cdots + (X_{im}-\bar{X}_m) \right\}^2 \\ &=\frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n} \left\{\sum_{j=1}^{m}(X_{ij}-\bar{X}_j)\right\}^2 \\ &= \sum_{j=1}^{m} \left\{ \frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n} (X_{ij}-\bar{X}_j)^2 \right\} + 2\sum_{1\leq j<k\leq m} \left\{ \frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n} (X_{ij}-\bar{X}_j)(X_{ik}-\bar{X}_k) \right\} \\ &=\sum_{j=1}^{m}s_j^2 +2\sum_{1\leq j<k\leq m}s_{jk} \end{aligned} \]

となる。 ここで、問題文の定義より

\[ \sum_{j=1}^{m}s_j^2=m\bar{V},\qquad \sum_{1\leq j<k\leq m}s_{jk} =\frac{m(m-1)}{2}\bar{C} \]

である。 したがって、

\[ s_T^2=m\bar{V}+m(m-1)\bar{C} \]

となる。 これを定義式(1)に代入すると、

\[ \begin{aligned} \alpha &=\frac{m}{m-1} \left(1-\frac{\sum_{j=1}^{m}s_j^2}{s_T^2}\right) \\ &=\frac{m}{m-1} \left(1-\frac{m\bar{V}}{m\bar{V}+m(m-1)\bar{C}}\right) \\ &=\frac{m\bar{C}}{\bar{V}+(m-1)\bar{C}} \end{aligned} \]

となる。

同様に、標準化した各項目の分散は\(1\)、項目間の共分散は相関係数となるので、

\[ s_W^2=m+2\sum_{1\leq j<k\leq m}r_{jk} =m+m(m-1)\bar{R} \]

である。 これを定義式(2)へ代入すると、

\[ \alpha'=\frac{m\bar{R}}{1+(m-1)\bar{R}} \]

を得る。 \(\alpha'=0\)となるのは\(\bar{R}=0\)の場合であり、正負の相関が相殺される場合も含む。 負の相関がないと仮定すれば、これはすべての項目間相関が\(0\)となる場合に対応する。 一方、\(\alpha'=1\)となるのは\(\bar{R}=1\)の場合である。 相関係数は\(1\)より大きくならないため、これはすべての項目間相関が\(1\)となる場合に対応する。

[3]

各項目の分散が等しく、すべての項目間相関が\(0.5\)なので、\(\bar{C}=0.5\bar{V}\)である。 [2]の式から

\[ \alpha=\frac{0.5m}{1+0.5(m-1)}=\frac{m}{m+1} \]

となる。 \(m/(m+1)\geq 0.8\)を解くと\(m\geq 4\)であり、4項目以上が必要である。

[4]

以下では、通常の因子分析モデルとして、共通因子\(\boldsymbol{f}\)と独自因子\(\boldsymbol{u}\)は無相関であり、独自因子間も無相関、すなわち\(\Psi\)は対角行列であるとする。 \(\boldsymbol{f}\)の各成分は互いに独立に\(N(0,1)\)に従うので、\(\boldsymbol{X}\)の分散共分散行列\(\Sigma\)は

\[ \Sigma=\Lambda\Lambda^{T}+\Psi \]

である。 また、\(\boldsymbol{X}\)の各成分の分散は\(1\)であるため、\(\Sigma\)は相関行列\(R\)に一致する。 したがって、ここでは\(\Sigma=R\)である。

[4-1]

各項目の分散が\(1\)であることと、\(\Psi\)が対角行列であることに注意し、\(R=\Lambda\Lambda^{T}+\Psi\)に因子負荷量行列\(\Lambda\)を具体的に代入すると、相関行列は

\[ \begin{aligned} R &=\Lambda\Lambda^{T}+\Psi \\ &= \begin{pmatrix} 0.8 & 0.2 \\ 0.8 & 0.2 \\ 0.2 & 0.8 \\ 0.2 & 0.8 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 0.8 & 0.8 & 0.2 & 0.2 \\ 0.2 & 0.2 & 0.8 & 0.8 \end{pmatrix} + \Psi \\ &= \begin{pmatrix} 1 & 0.68 & 0.32 & 0.32 \\ 0.68 & 1 & 0.32 & 0.32 \\ 0.32 & 0.32 & 1 & 0.68 \\ 0.32 & 0.32 & 0.68 & 1 \end{pmatrix} \end{aligned} \]

となる。 なお、これより

\[ \Psi=R-\Lambda\Lambda^{T}= \begin{pmatrix} 0.32 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0.32 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0.32 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 0.32 \end{pmatrix} \]

となり、独自性はすべて\(1-(0.8^2+0.2^2)=0.32\)であることがわかる。 したがって、6個の項目間の相関の平均は

\[ \bar{R}=\frac{2\times 0.68+4\times 0.32}{6}=0.44 \]

である。 [2]の式から

\[ \alpha'_0 =\frac{4\times 0.44}{1+3\times 0.44} =\frac{22}{29} \approx 0.759 \]

を得る。

[4-2]

1因子モデルでは、相関行列は

\[ R= \begin{pmatrix} 1 & \lambda^2 & \lambda^2 & \lambda^2 \\ \lambda^2 & 1 & \lambda^2 & \lambda^2 \\ \lambda^2 & \lambda^2 & 1 & \lambda^2 \\ \lambda^2 & \lambda^2 & \lambda^2 & 1 \end{pmatrix} \]

となり、任意の異なる2項目間の相関は\(\lambda^2\)である。 各項目の分散が\(1\)なので\(\alpha=\alpha'\)であり、[4-1]の値に等しくするには

\[ \frac{4\lambda^2}{1+3\lambda^2}=\frac{22}{29} \]

をみたす必要がある。 これを解くと\(\lambda^2=11/25\)であるから、

\[ \lambda=\pm\frac{\sqrt{11}}{5}\approx \pm 0.663 \]

となる。 因子の向きを正に定める場合は、\(\lambda=\sqrt{11}/5\approx 0.663\)である。